2024年から新NISAが始まります。
この記事では特定口座で米国高配当ETFを保有している投資家のために、売却して成長投資枠へ移行するシミュレーションを実施しました。
投資家によって条件が異なると思いますが、新NISAにむけて特定口座の売却を考えている人に向けて役に立つ記事です。
✅この記事に伝えたいこと
結論を先に伝えると『高配当投資家であっても新NISAに一刻も早く移行する』ことをおすすめします。
・2024年、特定口座から新NISAに移行した場合、4年で手数料を差額を相殺できます。
さらに配当を再投資すると手数料分の差額を短縮できる。
・早めに新NISAに移行しましょう。
ではここからは具体的なシミュレーションです。
なお2023年6月10日時点の株価、為替、SBI証券の手数料、VYM配当利回り3%で計算しました。
より具体的に知りたい人は、本ブログを参考に再度計算をしてみてください。
・図解 新NISA制度 投資初心者でもよくわかる!現役銀行員・証券アナリストが教える 2024年 税制改正対応版: つみたて投資枠・成長投資枠とは?
・日経マネーと正直FPが考え抜いた! 迷わない新NISA投資術
・大改正でどう変わる? 新NISA 徹底活用術
✅特定口座VYM100株を売却費用
✅ 前提条件
・VYM株価:105.13円(2023/6/10)
・ドル円:139.36円(2023/6/10)
・SBI証券の特定口座を利用
・VYMの保有株は100株(146.5万円)
・VYM100株に対して評価損益+10万円
→評価損益がマイナスな場合は、新NISAに移行する方がお得です。
今回のシミュレーションは損益がプラス推移していることが前提です。
✅結果
・売却手数料:3,065円【22USD(概査手数料20.0USD+概算消費税2.00USD)(2023/6/10)】
・評価損益10万円に対する課税:国内課税 22,753円 (利益100,000円-売却手数料3,065円 ×国内課税 20.315%
・売却手数料+国内課税=合計 25,818円【185.26USD】
✅新NISA(成長投資枠)を利用した購入費用
✅結果
100株(10513.0USD)を売却に対する手数料25,818円(185.26USD)を支払い残金10349.7$でVYMを再購入。
SBI証券はNISA枠のETF買付手数料は無料。
VYMは98株(-2株)を購入しました。
✅配当利回りはどちらがお得?(特定口座保有 VS 新NISA移行)
円換算 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 |
特定口座 | 31,523円 | 63,047円 | 94,570円 | 126,093円 | 157,617円 |
新NISA | 38,766円 | 77,533円 | 116,299円 | 155,065円 | 193,832円 |
差額合計 | 7,243円 | 14,486円 | 21,729円 | 28,972円 | 36,215円 |
特定口座で100株持ち続けたケース(米国課税10%+国内課税20.315%)と新NISAに移行して98株再購入したケース(米国課税10%のみ)を比べてみました。
新NISAは国内課税20.315%が非課税になるため、1年目より新NISAの方が配当所得が増えていきます。
そして4年目になると売却利益を相殺するため、5年目以降はさらに収益を増やす結果となりました。
✅まとめ
今回、結論を伝えると『新NISAへ一刻も早く移行する』ことをおすすめします。
特定口座において減益になっている場合は当然ですが、評価損益がプラスに推移していても早い段階で売却して、新NISAに移行しましょう。
新NISAは非課税期間が無期限です。
株数は減らす結果になりますが、数年でリカバリーできます。
・2024年の特定口座から新NISAに移行した場合、4年で手数料分を差額を相殺できる。
さらに配当を再投資すると差額分をより早い段階で短縮できる。
・結果、早めに新NISAに移行する方がお得です。
✅ 著者は特定口座VYM78株を新NISAへ移行します
今回の条件とは異なりますが、特定口座に78株ほど保有しています。
また今回の条件より、現状の株価で推移すると利益分が多いので国内課税が多く取られてしまいます。
それでも4年目になると手数料を相殺できるので、早めに売却して新NISAへ移行を考えています。
・売却手数料:3,065円【22USD(概査手数料20.0USD+概算消費税2.00USD)、米国ドル139.36円(2023/6/10)】
・国内課税 25,928円 (利益130,655円-売却手数料3,065円 ×国内課税 20.315%=101,662円
・合計 28,993円【207.92USD】
おまけ(株式に関する税金、新NISAに概要)
ここからは、新NISA移行にむけての資料を掲載しておきます。
株式売却に対する税金について
課税対象国 | 譲渡益課税 | 配当課税 |
米国課税 | なし | 10% |
国内課税 | 20.315% | 20.315% |
米国での譲渡益税はかかりません。ただし国内課税において利益の20.315%が課税されます。
さらに詳しい資料は以下のとおりです。
◎株式等の譲渡益に係る所得税額(住民税額)の計算方法
譲渡価額-(取得費+委託手数料等)= 譲渡益
譲渡益×所得税15%(ほかに住民税5%)= 所得税額(住民税額)
◎株式等の譲渡益に係る所得税額(住民税額)の計算方法
譲渡価額-(取得費+委託手数料等)= 譲渡益
利益(米国税率10%)-(譲渡益×所得税15%(ほかに住民税5%))= 所得税額(住民税額)
- 譲渡益の計算: 譲渡益は、次のように計算されます。 譲渡益 = 譲渡価額 – (取得費 + 委託手数料等) 譲渡価額は、資産を売却する際の売却価格です。取得費は、資産を取得するために支払った金額(購入価格)です。委託手数料等は、証券会社に支払う手数料や手数料に類する費用です。
- 所得税額の計算: 所得税額は、次のように計算されます。 所得税額 = 譲渡益 × 所得税率(通常は15%) 譲渡益に対して所得税率を適用し、その結果を所得税額とします。
- 住民税額の計算: 住民税額は、次のように計算されます。 住民税額 = 譲渡益 × 住民税率(通常は5%) 譲渡益に対して住民税率を適用し、その結果を住民税額とします。
つまり、まず譲渡益を計算し、その後所得税率と住民税率を適用して所得税額と住民税額を求めます。
手数料:SBI手数料
米株買付手数料(税抜※) | 約定代金の0.45% 手数料下限5ドル/上限20ドル |
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新NISAの概要
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | ||
制度の併用 | 同時併用可 | ||
投資枠 | 年間投資枠 | 合わせて360万円 | |
120万円 | 240万円 | ||
非課税保有限度額 | 1,800万円※1 | ||
(総枠) | (うち成長投資枠は最大1,200万円まで保有可能) | ||
投資期間 | 制度実施期間 | 2024年1月~ | |
口座開設・ | 無期限(恒久化) | ||
非課税期間 | |||
対象年齢 | 18歳以上 | ||
対象商品 | 投資信託 | 上場株式・投資信託など | |
(条件を満たした商品のみ※2) | (一部除外商品あり※3) | ||
購入方法 | 積立 | 一括(スポット)・積立 |
#2長期の積立・分散投資に適した公募株式型投資信託で、金融庁への届出商品に限定
#3株式は整理・監理銘柄を除く。投資信託は信託期間が無期限または20年以上あるもので、高レバレッジ型・毎月分配型商品は除外
現行NISA | 新NISA | |
積み立て・一般 どちらかの口座のみ開設可 | 積み立てNISA40万円 一般NISA120万円 | 積み立て・一般(成長枠投資)の どちらも可能 |
非課税期間 | 積み立てNISA:20年間(最長2042年まで) 一般NISA5年間(最長2027年まで) | 無期限(恒久化) |
年間投資枠 | 積み立てNISA40万円 一般NISA120万円 | つみたて投資枠 120万円 成長投資枠 240万円 |
最大利用可能額 | つみたてNISA:最大800万円 (20年×40万円) 一般NISA:最大600万円 (5年×120万円) | 非課税保有限度額(総枠) 2つの投資枠合わせて1,800万円 (うち成長投資枠は最大1,200万円まで保有可能) |
売却分の投資枠 | 売却した場合も投資枠は復活しない | 売却した場合はその分の非課税保有限度額(総枠)が翌年以降 再利用可能 ※簿価(=取得価額)残高方式で管理 |
そのほかの質問
Q 新NISAをはじめるなら、2024年まで待ったほうがいいですか?
2023年内にNISAをスタートすると、新NISAとは別枠で非課税期間の終了まで運用が継続できる。
2023年のうちからNISA口座を開設して、別枠での非課税枠の有効活用がおすすめです。
2023年中に一般NSIAか積み立てNISAを開設する方がお得です。
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